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理学療法士がフットケアに関わるということ

更新日:2020年12月12日

12月12日(土)リハビリ講演会「Go To 足リハ!!」に寄せて

荒川優也(理学療法士・松波総合病院)


皆さんの周りに、フットケアに関わる理学療法士さんはいますか?

「変わり者が景色を変える」


理学療法士が得意な領域。それは主に脳血管疾患や運動器疾患といった、目に見える動作の障害がある患者さんの治療や訓練です。

これは日本における理学療法の歴史が浅い割に社会では需要が高く、この領域の教育・人材育成が急務だったことにあります。

今や私たちの領域で市民権を得た心臓リハビリテーションや呼吸器リハビリテーション。10年ほど前まで、その領域の人は「変わり者」の目で見られていました。


では、今日のフットケア領域ではどうでしょう?

はい、「変わり者」扱いです。


10数年前、運動器疾患に興味を持って理学療法士の資格を得た後、呼吸が苦しそうな患者さんを見たときに感じた想い。そのときの熱い呼吸器内科医。使命感に駆られました。

7年前、とある心臓血管外科医と出会う。口数は少ないが、ある日熱すぎる話をきく。変わり者魂と使命感は一気に最高潮に。その方が、フットケア学会初代理事長と知ったのはその後でした。

さらに変わり者と確信したのは、この領域での文献検索をしたとき。医師の論文でさえ少なく、理学療法士は皆無といっていい。やはり「変わり者」です。


なぜ、変わり者になるのか。

理学療法士が得意とするのは、解剖運動学的な視点からの筋肉や関節、それらをつかさどる神経の知識とそれを動かす技術を元にした治療。そして動作を獲得し、生活につなげることです。


めっちゃフットケアに応用できるやん!そう思いませんか?


先生や看護師さんが治療・ケアをした後に歩行や生活を支える役割を担えるはずなのに。

ではなぜ……。

苦手なんです。末梢血管疾患や傷が。理学療法士さんは。

私もほぼ無知でした。でも、この領域の先生や看護師さんはとにかく優しい!

仲間がどんどん増える中で学び、学びの中からそれを運動につなげ歩行維持や生活に向かうという経験。それが変わり者を支えてくれています。


では、その変わり者がこの領域でできることは。そしてなにをしているのでしょう。


まずは病態の把握です。病気に合ったさまざまな分類を使う。予防なら、今ある能力がどれだけ使えるか、どの能力を優先して維持すべきか。

それを元に、動きに対してどういった反応が起こるのか。

その傷は動き(荷重)によってどうなるのか。フットウエアはどうしたらいいか。

足裏や爪を見たら、歩き方が分かるかもしれない。


普段皆さんが見ている傷やタコや爪(ときにフットウエア)のほとんどは「安静時」の評価やケアかと思います。


そこを少しだけ視点を変えて、「動くときどうなるか」をお伝えできればと思います。

また、花田フットケアラボで気付きを得た「看取りの傷」に対し、理学療法士ができることも少しお話しします。




長くなりましたが、一番大切なのは患者様との関わりです。


診療や治療、ケアのときだけの関わりでなく、想いを行動に移して伝えるのは最も大切なこと。「歩いてください」ではなく、一緒に歩く。「作っておきます」ではなく、今作る。


「変わり者が景色を変える」


もしかしたら、皆さんも変わり者かもしれません。でも、私たちがそれを当たり前の景色に変えていくのです。


理学療法士のフットケアへの関わり。そこから少しでもなにかのヒントになればと思い、今回皆さんへお話しさせていただきます。



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※本講演会は盛況のうちに終了しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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